野菜や果物からの残留農薬摂取による妊娠率出産率流産率に与える影響

01.2018このような発表がありました。

生殖補助医療による不妊治療を受けている女性における果物と野菜の消費による残留農薬摂取と妊娠率との関連

Association Between Pesticide Residue Intake From Consumption of Fruits and Vegetables and Pregnancy Outcomes Among Women Undergoing Infertility Treatment With Assisted Reproductive Technology
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2659557

私たちは毎日野菜や果物を食べています。そして、旬なお野菜や果物を選んでいます。出来れば無農薬を選んでいるかもしれません。そして07.2019にはこのような発表がありました。

妊婦の化学物質は胎盤を通過する可能性があり、メチル水銀と同様に胎児に蓄積し、後遺症が長く続く可能性があります。

Whether scientists are reviewing increased rates of cancer, neurodevelopmental disorders, pregnancy outcomes, or birth defects, there is evidence to support the effect of chemical exposures on health. Chemicals in pregnant women can cross the placenta and, as with methyl mercury, can accumulate in the fetus and have long lasting sequelae.
https://www.figo.org/statement-glyphosate-removal

残留農薬とは・・・

食品中に残留する農薬などが、人の健康に害を及ぼすことのないよう、厚生労働省は、全ての農薬、飼料添加物、動物用医薬品について、残留基準を設定しています。残留基準は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに設定されています。農薬などが、基準値を超えて残留する食品の販売、輸入などは、食品衛生法により、禁止されています(いわゆる「ポジティブリスト制度」)。
農薬が基準を超えて残留することのないよう、農林水産省が、残留基準に沿って、農薬取締法により使用基準を設定しています。また、食品の輸入時には、検疫所において、残留農薬の検査等を行っています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html

2019年2月には除草剤の成分グリサホートをには発がんリスク41%増大するという記事がCNNから出されました。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35132813.html

グリサホートってドラッグストアで一時期よく見かけましたね。日本国内では一般に、モンサント社との独占契約を持つ日産化学がこの除草用グリホサート溶剤を「ラウンドアップ」シリーズとして販売、ホームセンターなどでも広く売られているポピュラーな除草剤のひとつと言えます。そして今はダイソーでも売られています。あの農薬です。発がん性が高いということは、染色体に対して影響が大きいという事です。つまり、受精卵にも影響するという事です。しかし、どれくらい影響するかは知られていませんでした。

こんな新聞記事も2019年7月掲載されました。
この記事は福島県有機農業ネットワークさんが投稿されていました。
https://www.facebook.com/FukushimaOrganicAgricultureNetwork/
体内の農薬

毎日患者さんと話をする時には必ず話題になるのが、無農薬が良いか?

いつも私は笹本さんのお野菜をいただいております。
https://www.makuake.com/project/kazuki_sasavege/?utm_source=sp_1_facebook&fbclid=IwAR1cEksyZNgxZfvJuSvd0p8BZjsTaHXAmVu8whqEnwkWGi506aFect_mKbI
有機農法野菜

生殖補助医療による不妊治療を受けている 女性の果物と野菜の消費による残留農薬摂取と妊娠率との関連を調べた論文がありました。

残留農薬は不妊治療における妊娠率に影響しているのでしょうか。

今までは、高濃度残留農薬による妊娠率が低くなるということが言われていましたが、低濃度残留農薬との比較はされてきませんでした。To examine the association of preconception intake of pesticide residues in fruits and vegetables (FVs) with outcomes of infertility treatment with assisted reproductive technologies (ART).今回は、
果物と野菜の残留農薬の受胎前摂取量と生殖補助技術(ART)による不妊治療の結果との関連を調べました。
論文内では残留農薬の多い野菜や果物を多く食べる女性ほど体外受精の妊娠率や出産率が低く、残留農薬は生殖力の低下に関連することがアメリカで実施された研究で明らかになりました。

残留農薬高レベルと低レベルでの妊娠率出産率の違い

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、残留農薬の多い野菜や果物の摂取量と体外受精の治療成績との関連を調べるために、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究)に参加している325名の女性を対象にした観察研究を実施し他結果。
残留農薬高レベルの野菜や果物を多く食べている女性ほど妊娠率や出産率が低く、最も多く食べている女性は、最も少ない女性に比べて、妊娠率が18%、出産率が26%低いことがわかりました。

JAMA Intern Med. 2018;178(1):17-26. doi:10.1001/jamainternmed.2017.5038

受胎前摂取量と残留農薬の状態を考慮し、不妊治療を受けている女性のART結果との関連を評価しました。高農薬残留摂取量が多いほど、開始サイクルあたりの臨床的妊娠および生児出生の確率が低くなることに関連していることが観察されました。一方、低農薬残留FV摂取は、早期の妊娠喪失のリスクが低いことに関連していました。高農薬残留FVを低農薬残留FVに置き換えると、臨床的妊娠と出生を達成するための最大の利点が得られると推定されました。
 

残留農薬高レベルと低レベルでの流産のリスクとの関連

残留農薬高レベルの野菜や果物の摂取量が多いほど流産率が有意に残留農薬高レベルの野菜や果物の摂取量が少ない女性から順番に、7%、23%、24%、34%でした。
これらの結果から、残留農薬の多い野菜や果物の摂取量は低い残留農薬と比べて妊娠率や出産率、流産率に有意に関連することがわかりました。

無農薬が良いであったり、有機栽培が良いであったりは聞いたことがあると思います。

厚生労働省には残留農薬基準があります。

しかし、健康被害が出ないであろう基準と、妊孕性(妊娠しやすさ)は関係がありません。妊娠をこれから考えるのでしたら、農薬が少ない野菜や果物を選ぶことをお勧めします。

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