改正食品衛生法、コロナで周知不十分 岐阜新聞令和2年6月9日朝刊

岐阜新聞 令和2年6月9日火曜日 朝刊

 

改正食品衛生法、コロナで周知不十分

食品を扱う全ての事業者に食品衛生管理の国際基準「H A C C P(ハサップ)」に沿った衛生管理を求める改正食品衛生法が1日に施行されたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、今春の講習会が中止になるなど事業者への周知が十分とは言えない状況だ。飲食店が立ち並ぶ岐阜市の玉宮地区に漢方薬局を構える薬剤師の野崎利晃さん(44)は、地域の飲食店への衛生管理の支援を始めた。「保健所は新型コロナの感染対応で手いっぱい。まずは民間で飲食店を支えたい」と動機を話す。(武藤直子)

 

県生活衛生課と岐阜市保健所によると、営業許可を出している県内の飲食店は昨年3月末時点で計約2万2千店。県と市は事業団体などと連携して講習会を開き、早めの対応を呼び掛けてきたが、新型コロナの影響で今春の講習会は軒並み中止に。市の担当者は「毎年5〜10月にはほぼ毎週講習会を開いているが、今後の開催は未定。周知を進めたいが、代替案は検討中」と話す。

 

野崎さんは、瑞穂市の幼稚園などで給食の衛生管理を指導している経験を生かし、今回、H A C C Pを基に約50項目からなる独自のガイドラインを作成した。ホームページで焼き肉店やカフェなど業種別のガイドラインを無料で公開しているほか、必要な毎日の衛生管理チェックと記録、管理業務をウェブ上で完結できるようにした。希望する飲食店には、店舗での衛生管理チェックとコンサルティングなどを有料で行なっている。「それぞれの飲食店が感染予防策に取り組み、安心感を広げることで、コロナ収束後の観光回復にもつながれば」と話している。

飲食店の衛生管理HACCP