薬剤師が飲食店の衛生管理をする意義について

令和2年4月新型コロナcovic-19のために緊急事態宣言が発令されました。それは5月15日現在日本国内では全て解除されていないのが現状です。私たち消費者は外食の際に何をもって飲食店を選ぶようになるのでしょうか。先日Facebookにてこのような投稿をしました。


沢山のコメントを頂きました。みなさん安心安全と言います。そして飲食店はそれぞれ頑張って対策を講じています。3密対策とか。。。カウンターのある居酒屋に行こうと思った時、他のお客さんと一席空けましょう。と言われてもピンと来ないですね。ボックス席は間隔を空けてと言っています。他のお客さんとの席をあける事は私は賛成です。だってうるさいから。しかし、この対策はウイルス感染のリスクを特に飲食店でのクラスター発生を予防しようという考えから実行していると思いますが、それは予防になるのでしょうか。例えばカップルは?一緒に生活をしていない物同士が食事をしていたらそれは感染にならないのでしょうか。仲間四人で食事に行った時その四人の間隔が広くなるわけではありません。つまり誰かが感染者だった時その人がその空間にいる限り何をしても一緒なのです。インフルエンザもそうですが、接触感染・飛沫感染はそれでは防げないのです。各個人が健康管理をする事。そして少しでも体調が悪い時は外食をしないことが大切です。

その前提で飲食店がどのような努力をしないといけないのでしょうか。

私は薬剤師ですので飲食店経営に携わった事はありません。

しかし外食は好きです。この2ヶ月は外食をしないようにそこは自粛していました。貸し切りでお願いしたりはしました。

昔から思っていたのです。

なんで生ビールを飲むときに魚の匂いがするのだろう。なんで厨房を綺麗にしているお店とそうじゃないお店があるのだろう。なんで腐敗が始まっているような味の刺身を出すのだろう。と。。。

でも私は言わないのです。行かなければ良いだけで、言っても解決しない。安くしてくれてもどうせ行かないし。というのが私の意見でした。

洗い残しがあったり、汚い厨房であってもお店の価値観で洗浄機ではなく手洗いしたり、毎日厨房を掃除する事は営業努力でした。基準なんて無いんです。そしてその努力は厨房を掃除する人の価値観のみの努力です。何をもって衛生的か、何をもって汚染が無いかなんか検査した事ないですし、検査する方法がある事を飲食店のみなさんは知りません。という事を最近初めて知りました。

 

私は認定こども園の管理薬剤師をしています。調理室に定期的に行って水道水の検査やでんぷん洗い残し検査をしています。調理職員は毎日日誌を記録しています。衛生管理についてです。そしてそれを私が監査します。学校薬剤師と言います。飲食店の皆さんに聞いたら学校薬剤師というシステムを知らない方が全員でした。

思いました。皆さんが卒業した認定こども園や小学校中学校の調理室は衛生管理が徹底されていましたが、飲食店は自分の価値観だけで衛生管理をしていました。

そして起こったのは食中毒患者の発生源6割が飲食店でした。

おかげで2018年6月食品衛生法が改正されHACCPという考え方が導入されました。そして2020年6月施行されます。飲食店にも衛生管理計画をしてもらい、衛生管理に努めてもらおうという取り組みです。

しかし飲食店に聞いてもHACCPという言葉を知っているのは1名だけでした。笑いそうでした。

もちろん保健所にも問い合わせました。この2年で全国の飲食店に冊子を配布しているとのことです。
そんなもんです。そして今年は新型コロナの影響で飲食店はさらに対応をしないといけなくなりました。

 

話は戻ります。飲食店は6月からHACCPの考えを取り入れた衛生管理を始める義務があります。そしてそれは飲食店での食中毒発生を予防するという当初の予定だけではなくウイルス感染を予防するという環境作りまでしなくてはいけない時代となりました。

先ほども書きましたが、飲食店は席を空けても換気をしないと一緒です。そして換気環境によっては食品衛生法に定めるネズミ対策や虫対策が出来ないという矛盾も発生します。ウイルス感染対策は第一に私たち消費者が健康な状態である時だけ外食を楽しむ前提が必要なのです。もちろん飲食店の従業員皆さんも同様です。風邪っぽい調理担当者が調理をすればどんなに環境を整えても同じです。食品衛生法ではインフルエンザである時のみ出勤を自粛するように言われてきましたが、これからの時代は私たち医療従事者と同じように発熱があれば出勤しない取り組みも必要となります。つまり毎日の検温です。私たち医療従事者は施設内に入るときに検温が義務付けられています。当たり前です。ですので普段から体調管理には気をつけています。毎日の検温や体調管理に気をつけて健康的であるからこそ、飲食店経営も成り立つのです。これはHACCPの考えを取り入れると健康管理項目がありますので、安心です。

衛生管理についてはまだ気になることがありました。

何をもって調理器具は綺麗にしているのでしょうか。

 

ハイターにつけているから大丈夫なのでしょうか?それって見た目でしょ?そんなんじゃ衛生的と証明できないです。例えば臨床検査技師とう職業の方が飲食店に行くたびに気になっているかもしれないです。しかしそれを証明する方法の存在を知らない飲食店さんは見た目が綺麗だけが基準です。

そして薬剤師である私は活動をはじめました。

学校の調理室に追いつくような基準を自ら設け、保健所から監査を求められなくても努力をして記録を残し保存するという取り組みです。それは食品衛生法に準じる必要がありますし、HACCPの考え方を取り入れ、かつ出来る努力を行うことです。

今後私は衛生管理をしている飲食店を選ぶようになるでしょう。

 

それは魚くさいビールジョッキが無くなる証拠となります。

それは鮮度の落ちた刺身を口にすることが無くなる証拠となります。

それは洗い残しのあるお皿で食事をしなくなる証拠となります。

そして、飲食店で働く皆さんの健康増進になる事を確信しています。